2012年



2012/01/19

 

蒸し2枠

紅花染めにやって来た土田さんに手紡糸ボビンから枠に巻き取ってもらう。39cmタンクにザルを入れて、底に受けのザルを逆さまにして(湯が跳ねないように湯量の調節が大切)枠を2個並べて(ザルの淵に当たらないように)紐をする。

沸騰させて15分、逆さまにして15分沸騰させて、放冷  枠のまま乾燥させて巻取りが可能になれば、綛上げして新たに乾燥させる。

手作りはどれも同じ。やって慣れろ!!! 回数を重ねれば、絶対に糸は引けるし、織ることが出来る。

今年も元気で染織をしたいものです。




2012/01/24

 

 冬の陽だまり・・・

インド茜の液だしをする。最近は染料屋さんに茜の根が無いようである。粉末は売っているらしいが、工房では何度も液出しに使う。出しては干し出しては干すの繰り返し。

最後は肥料にします。干すには日が当たり、風通しの良いところが良い。

そうでないとカビが出る。

カビが出ると液には使えない。茜の根は色素がたっぷりなのです。

しっかりと液出しをして欲しいと願う。 捨てないで!!やまももも染材(木々)等は何度も干して使えば使えますよ。



2012/01/30

 

久しぶりに「木綿糸に豆汁処理」と検索してみました。これまで二人工房が「豆汁をする」と謳って20年近くになりますが、「糸に豆汁?聞いたことが無い」と叩かれたものです。

でも今回の検索では「木綿等植物繊維はセルロースで蛋白質が無いので染まらない」「豆汁等を

せねば作品にならないと謳っていました。

驚きましたし嬉しかったです。何ページにもわたって「豆汁」と言う言葉が出てきます。

「染織をする仲間に豆汁が定着したのだ」と確信しました。豆汁をするだけで色はしっかりと定着してくれます。

乾いても糊の役目もしてくれる優れもの。糊のように洗えば落ちるものではありません。

私たちはしっかりと時間をかけて定着させます。

工房では竹糸にも桑糸にも「豆汁」をして反物を織って、染めています。

一手間かかりますが、優れものですよ。





2012/04/06

 

 ナバホ撚り・・・ 解きモヘヤのナバホ撚りを全て終えました。

初めての時は撚りが出来たことがとてもうれしく感激でしたが、2~3回と来るとなぜかボビンに糸が入っていきません。嫌になるぐらいです。

終わり頃に原因はモヘヤ糸の毛ではないかと感じます。

ヒートンに毛が少しからみ吸い込みが悪くなるのでと思います。

このままの状態で羊毛紡ぎができれば原因は分かったように感じます。

ナバホ撚りは、簡単に説明すれば「鎖撚り」です。

糸を引く方の糸で大きな鎖を作り、鎖の出来ている所まで撚りを掛ける。(撚り掛けをする所に糸を指で押さえておく)また大きな鎖を作り、撚り掛けをしてとボビンが撚りを吸い込んでいきます。

初めての時は「蒸し」をして撚り止めをすると、撚りが掛かり過ぎて不安でしたが、少々の撚りの強さは大丈夫!!! 鎖撚りに慣れる事が先です。この解き直しモヘヤ糸でベストを編むつもりでいます。

「鎖撚り」は3本に成っている所に撚りを掛けるので織り糸ではなく、編み糸(毛糸)です。

この方法を出来れば紡毛機の世界が広がります。右下の写真は「鎖撚り」をして、枠に巻き取ったところです。そばの綛は「蒸し」撚り止めを終えたものです。

「蒸し」はボビンも枠も50gです。蒸しは60分(30分で上下替えて30分)冷まして軽く干し、かせに戻して完全に乾かして編みます。ボビンも枠も50gです。というのは羊毛を紡ぐ時に50gずつ袋に分けて、ボビンで50g巻く。当然枠にも50gになります。そうすれば蒸しの時間が一定になって時間が決めれます。1回50gは楽しんで紡げる時間です。つむぎ始めれば50gを必ず終えると決めています。紡ぎは短時間で紡げて、リズムが取れます。



2012/04/07

 

透明な液を自然に戻して染めをする。

4月に入っても鈴鹿の山にも雪が降っています。

遅れ遅れに倶楽部用に浴衣地の豆汁をする予定で準備をしておりましたが、今朝の雪では作業をしても生地が凍ってしまいます。

今日も残念ですが出来そうにありませんね。

今日から山荘にも水道が上がって嬉しい!!! 水タンクを持って上がらなくても済む。

毎回山荘に上がる度に、たくさんの荷物を持って上がる。染め液は基本的に作らない。

武豊から持って上がる。毎回思いますが、沢水は色が綺麗に発色する。水道水は飲み水に。

染めには沢水を使う。せっかく今は機嫌よく上がっています。

左から赤・茶・黄・鼠・・・2~3回染め重ねている色です。全て液が透明で!!!花木にまいています。

赤はインド茜・茶は冬青・黄は刈萱・鼠はクヌギ…。

茜以外は山荘に身近で採取できるものです。液だし後は乾燥させて薪ストーブに。

灰は藍を建てる時に使います。

昨年まで薪を使って染めをして来ましたが、今は4基のガスを使って染めています。

年齢には勝てずにガスを使っています。

使えるものは使って少しでも長く染織をしたと思っています。




2012/04/12

 

反物染め・・・

孫の長襦袢刈萱で染める。ボールとタンクを使う染めにしなければ色斑が出る。

ボールで色素を吸わせて、染めタンクに移して染める。媒染にしても同じ。

先回、孫の長襦袢、斑むらで散々であった。今回は私がしてパパも納得する。

これ位しないと斑が出て当然!!! しかしシンドイ作業です。色素が残った。

残液染めをしている布に吸わせる。

これは麻地ですが、生徒の中で小物作りをしている方におすそ分けします。

右の小バックは刈萱の型染めです(08年度の山荘勉強会)で染めたものを商品にしています。 この方の物作りは丁寧で、販売にと置けばすぐに完売するほど。

楽しい時間を過ごしておいでです。




2012/04/17

 

水のスピード・・・

織りが終われば自分の手で「水通し」をします。この「水通し」は生地の様子・水の様子・縮み等を見ることができる大切な作業の一つです。

今回は「桑糸」です。繊維100%です。豆汁をすると水を含むスピードが異なります。

よくよく見ると、水が吸うスピードが違います。

しっかりと水を吸っていることを確認して干します。水の中に20~30分浸して干します。

干す時は絞ったり、脱水等したりはしません。自然に干します。

豆汁は木綿との相性が一番好いようです。繊維になると少し異なります。

工房では糸に豆汁をして染めをしています。

これは染めに薬品を極力使わないためです。利点は糊は洗えば落ちますが、豆汁は落ちにくいです。

糊の役目も果たして糸にシャリ感があります。糸の扱いも楽です。

竹糸は染まりが悪いです。豆汁をしても中々色素が定着しません。

根気良く染めることです。木綿の倍はかかりますが、でも糸のシャリ感が出て二人工房の糸が生まれます。

天気の良い日を見て豆汁をします。




2012/06/10

 

マット織りを終えて・・・

倶楽部の生徒さんに向けて、織りの色々な方向付けにと広幅機にマット用に60cm幅を用意する。

★経糸はラグ用糸:36/8位 筬密度4本/cm 片ざし 緯糸はモップ用糸3本揃え 糸が太いのでじき希望寸法が織れる。

糸は精練もしないで織るため、織り縮み・水通し縮み等はしっかりと出る。今回水通しをすれば

余りの汚さに驚き精練をする。

やはり手抜きは駄目です。 精練をすれば、見違えるほどの白さになる!

★上下の始末・・・ フリージング:5~6段、経糸糸で織る。

10~12本一まとめにして玉結び

ヘム:10~12cm織り三つ折にしてミシンでたたく。

マットなので洗濯を良くする。出来るだけ丈夫にしておくと良い。




2012/08/03

 

昨年から「藍の生葉染め」をしています。

昨年は飯田の生徒さんの藍畑で作り、その場で染めました。とてもいい色に染まりました。

今年は山荘近くの藍畑で苗を育てています。

鹿に新芽を食べられたり、雨が降らず、水やりに悪戦苦闘してようやく何とか大きくなっています。

これからの一ヶ月、水が如何と心配です。

8月の倶楽部で染める予定です。ここでの染めでいい色が染まれば、 来年度三重県民の森の講座で「藍の生葉」染めをしたいと思っています。



2012/09/01

 

倶楽部で藍生葉染めをしました。

生葉がたくさん余って、道具も要らない、何処でも出来る「藍生葉塩もみ染め」をしました。

いつものように葉を茎から離して、ミキサー撹拌。水の3倍程度の生葉を使って染めをします。

葉を揉みこむので、手の痛い方には向きませんが、道具も場所を選ばないので染めは楽です。

揉みこんで作った液を漉して、水に浸していたショール等を液に浸して(3回染めては酸化させる)水洗いをして出来上がり。

ポイントは生葉できるだけ多く使うことです。

これはお子たちとする染めにはもってこいですね。



2012/09/11

 

久しぶりに『棉』を植える。今までは生徒さん任せで作っていた『棉』を倶楽部の行事の一貫として皆に種を配布して作り始めた。

意外と全ての種が出るわけではなかった。

「洋綿」を植えたので花は思ったより小さかったがコットンボールは大きい。

秋になってコットンボールが弾けるが楽しみです。山荘では藍と共に植えたので藍に負けて棉は育ちが悪かったようです。



2012/10/06

 

常滑屋展示会を終えて工房の庭を眺めれば、萩の花が咲いていました。

これは工房から山荘に持って上がり、何年経っても大きくならないので、工房に持ち帰り今年は古巣が良いのか元気を取り戻して咲いたものです。

萩は季節をもって染色します。低木であっても枝茎葉の生を染液にいただきます。

花を少し愛でて根元10cm位の所から来年のために残して剪定をします。

萩は生でないと色が出ません。茶らしい茶色です。中性で液出しをします。

媒染は明礬。

大毛蓼が鼠色です。写真は有りませんが、今真っ盛りの「刈萱」は今が刈り時です。

生葉は澄んだ黄色が染まります。乾燥できる優れものです。

11月のイベント用に色サンプルを作っています。

完成すればご覧いただければ良いなと思っています。



2012/10/07

 

常滑屋の帰りに「背高泡立ち草」を採取して持ち帰る。

夢中になって採取して帰ると、シャツとズボンに雑草の「ひっつきむし」がついて大変。

背高泡立ち草を持ち帰り、早速液出しをして明日色サンプルをいただく事に。

工房では指導の為に草は液出しはしません。液の命が短く早く痛むからです。

豆汁して染めたことがないので、現在作成中の色サンプルに加えることにしました。

豆汁をしているのでしっかりと色はいただけると思いますが楽しみです。



2012/10/08

 

昨日採取した「背高泡立ち草」を液出しして今朝染めをしてみる。

採った材料も少しなので液も少し。2煎して液を取る。

液は少しにごりが有りますが、色は柔らかい黄色です。

工房は3~10煎を色によっては染め重ねますから、1回目の色とはかなりしっかりとした色になります。

季節に染める材料は5~7日置いて染め重ねして色を見ます。

豆汁処理で染めていますから、堅牢度も良いはずです。

縞はシンプルで色はしっかり。工房の特徴です。

手間を掛けて染織をすれば工房と同じような染織はできます。試してみてください。



2012/10/09

 

常滑屋の展示会を終えて、山荘に風入れドライブで上がる。台風以来雨は降っていない様子。

ヨウシュ山ごぼうなど草花がしおれていた。

沢水をしっかり掛けて、山荘中の窓を開けて、秋風「八風」を入れる。

その間に八風グランドの刈萱をいただく。最近はどこでも採取できるものではなくなった。

採取季節に入る前に今年はどこで頂こうかと目途をつけておく。

今年は山荘のテラスに干すことが出来るので必要な量を頂くことにした。

刈萱を干せば秋本番!!!



2012/10/13

 

いや~織り地が捩(ねじ)れる。

ツイードを織りました。主人のジャケット用にとツイード用のウールを選んで織りました。

風合いも良く、結果的には気に入っているのですが、少しゴワ付く手触りが。

「織れた!」と嬉しかったけれど、織り地をカットして機から降ろすと、写真のようになりました。

こんなことは初めてのことで、少し落ち込んでいます。

気を取り直して考えれば、生地が捩れることは当たり前のことでした。単糸の左撚りだから…。

強撚までいかないまでも、しっかり撚りがかかった糸を使いました。緯糸も単糸。

右撚りを使って見たので,生地が捩れます。ペールでよく見ると右のようです。

この生地でせめてベストでも作れればと思っています。

ツイード:手触りが粗く、縮絨しない、綾織り織物です。今回単糸同士を使うので、杉綾。

     しかも左右の綾を組織して織ったのですが。反省点が多々ありました。

ホームスパン:手紡の不揃いになった太い紡毛糸を使い、粗く平織に手機で縮絨せずに仕上げる。



2012/10/30

 

倶楽部で羊毛を紡いでいます。糸が沢山出来た人もいるので、そろそろサンプル織りをして先に進めることにします。ウール織りをするときは筬の高さが大切です。

大きな開口は厚みのある杼を飛ばすことに最適です。

しっかりと開口を取ってあれば織りも楽しいものです。

経糸を2/60ウール糸 緯糸ロムニースライバーミディアム4~5番手にしました。

軽くて丈夫なウール地が織れています。ベストにしようと思います。

仕上げは湯通しをしてアイロンをかけて作ることが大切です。



2012/11/01

 

半反7mをに付かで織り終えました。久しぶりです。

ウールが思いのほかスムーズに進んでくれて嬉し~い。

先回のツイードは難儀しました。経緯糸とも単糸です。

織り前に動かす都度、毛羽が引っ掛かるので大変!!! 今回は梳毛糸を使ったので楽。

経糸は梳毛糸が良いです。

緯糸を手紡ぎ糸で織りましたが、番手は4~5番手。

少し柔らかいと思いつつ織りましたが、織るにつれ手紡ぎの風合いがしっかりと出て、いい出来上がりになりました。

最後に手紡ぎを始めた娘の糸で織ってみました。1.3番手。撚りはクルクルで針金ように強い。

これが湯通しをするどんな感じになるか。30分程度湯通しを済ませて干してみました。

単糸は左撚りにしていますから、左にクルクルと巻きます。始めの撚りはありません。

これを見て感じることは、糸が太い細いは良いです。

紡ぐ事が理解、紡げるようになれば、撚りを均一するとことを学びます。

撚りで織れた生地が凸凹になります。水に潜らせれば良くわかります。

倶楽部のサンプル織りでしたが、経験すれば色んなことが分って素晴らしい。

手紡ぎをする人の励みになればと感じつつ!!!



2012/11/04

 

生徒さん達がせっせと紡ぐ。手紡ぎ糸を山荘に上がって来ては枠に巻いた糸を蒸しにします。

大きな染めタンクに、4個枠を並べて蒸しをします。

水を張ったタンクにザルを逆さまにしてその上に枠を並べます。

湯が糸にかからない程度張り、40~60分蒸しをします。

今は慣れない紡ぎなので、やけに無駄撚りが出来ます。

枠に糸を巻くときには捩れを注意しながら巻きます。

糸をしっかりと干して綛上げに巻き取り綛を作ります。

糸にラベルを付けることを忘れないように。

ラベルをデーター表に書いておくと、使用時便利です。



2012/11/06

 

今日も4個枠を蒸す。1枠50g手紡ぎ糸巻く。

羊毛の時に50gに分けてビニール袋に小分けしておきます。

50g紡げれば枠1個に巻き取り、4個できれば蒸しをする。

枠に巻くときにはラップを一巻きしておきます。

糸を蒸す時に枠の色が着くことがあるので、その予防です。

蒸しが終わればラベルを付けて保存してデーターを作る。

織りに入る時にデーターが役立ちます。

生徒さんから綿が紡げるかと尋ねられました。

綿から種を取り除いて、羊毛用のカーダーをかけて紡いでみれば…と、早速娘が綿を紡いでみました。

しっかりとした糸に紡げるので和綿ではなく、洋綿であろうと思います。

しっかりと撚りをかければ糸が生まれてきます。

羊毛がうろこ状になった繊維で綿よりは長繊維です。

綿は短繊維ですから、紡ぐには少しの経験が要ります。

羊毛で紡ぐ事をマスターすれば綿を紡ぐ事はできると思いますよ。



2012/11/10

 

紡毛機は時計回りに、はずみ車を回せば左撚り(Z撚り)の糸が紡げます。

反時計回りに、はずみ車を回せば右撚り(S撚り)の糸が紡げます。

私はしばらく糸を細く紡げるので、ペールで見ても撚りが解り辛く、反時計回りが左を作っていると思い込んでいました。

よくよく見れば右撚りであることが解り、生徒さんに申し訳ないことをしました。

自分自身もそのように作っていたので、単糸の糸を右撚りと左撚りを紡いでしまいました。

緯糸に右~左と交互に入れて織り、良い感じの反物を作りました。

失敗だと思わず、考えて糸を使う事を心掛ければ、楽しい染織ができます。



2012/12/13

 

裂き織りをする機会が多くなると、鋏で切っていると指が痛くなります。

何かないかと思案していると、生徒さんが作った鉄板カーターが使えるのではと思いました。

しかし平たい鉄板が無いので、作っていただくことは無理。

今は工房で長年使う「ペーパーカッター」を使っています。意外と良いのです。

マットを替えればカッターを替えることなく使っています。怪我をしなことが大前提です。