2010年6~8月

2010/06/01

 

水通しは大切な仕上げの一つです。工房では織りが終われば自分の手で『水通し』をします。

自分の織った反物の様子をじっくりと観察できることです。『水通し』を終えた反物は脱水機には入れません。自然乾燥させます。脱水でできたシワは取れません。注意が要ります。

『水通し』から織り地の縮み・水の色等が見れます。藍染めの糸は作品には不可欠なものです。

藍染めをして水に出るようですと色糸が汚く台無しです。私達のように「縞」を織っている者には色が落ちることは許しがたことです。糸は先染めで何も(絞り・絣等)施していません。

だからこそ丁寧に染め、時間を掛けて洗いながら染めれば色は出ません。手や道具につくことはありません。

今回の「水通し」の水の色です。木々の灰くが少し出ている位で糸はしっかりと染まっています。


2010/06/02

 

今日は晴天で風もある。一見豆汁日和のようであるが、寒気が入っているとかで豆汁糸の乾きが悪い。1回目はそれなりに乾くが、2回目の豆汁液は少し残る。

2回目は糸を絞らずに竿に干す。これで全ての豆汁液を吸わすことになる。

今日のように乾きが悪いと2回目の糸は糸を捌くと液が飛び散る。こんな日の2回目は慎重に糸捌きをしなければ豆汁斑を作ることになる。糸のくっつきが豆汁斑になる要因です。

出来るだけ糸がサラサラに成るまでまめに糸を捌くことです。一旦サラサラになれば糸が再度くっつくことは無く、持ち帰ってできるだけ早く干すことです。

しっかりと乾けば部屋に中に持ち込んでも大丈夫。一ヶ月枯らして染めに入ります。

一ヶ月枯れたと感じるポイントは「豆の臭いがしなくなる事」です。 豆汁処理は丁寧に染めをするには大切な作業です。


2010/06/08

 

ドラム整経を工房では採用しています。ドラム整経は経糸が均一に張ることが出来ます。

工夫次第ではいろんなやり方で縞を整経することが出来助かっています。

今日は指導しているにも関わらず、やってしまった失敗を一つご紹介します。

整経をするときにあぜ紐を使います。今回は「盛り込み」と言う整経をしました。5回縞立てを替える方法です。すると『あぜ紐』が5本必要になります。こんなときはあぜ紐の色を替えて使っていますが、今回手元に無く白を使いました。盛り込みの場合、あぜ紐を常に下に紐が潜っていなければ千切りに巻取りが出来ません。『あぜ紐』1本無駄にはしたくありませんが、切って進むことにしました。

作業は慎重にと、かみ締めながら作業を終えました。

外では生徒さんの豆汁!!!小雨が降ってきてどうしても豆汁をしなければこんな日は避けるほうが良いです。糸の乾燥は短時間が原則です。仕方なくテントを張ってあげくには扇風機を回して(汗)糸の乾きが遅いと糸にカビが生えてくることもよくあります。特に梅雨時は注意が要ります。



2010/06/09

 

自分用に1枚『竹糸織着尺』を織りはじめました。

毎回サンプルを織ります。 緯糸の素材、番手、撚り等を考えながら織ります。

はじめに「竹繊維100%」30/1 次にバンブーレイヨン(100%)20/1、バンブーレイヨン(100%)30/1と織っていきました。

20/1で織ることに決めて織り進むと30/1の所が織り幅がどんどん狭くなってきます。

「竹繊維」は差ほどでもなかったですが、大体が単糸は中に中に入って「狭く」なります。

本当は30/1で織りたかったのですが裄幅確保に断念して20/1にしました。

ここで解かることは、単糸を使う場合は差込幅の縮みを考慮して2~3cmは広く差し込みを考えたほうが良さそうです。主人に言われていたのに自分で納得せねば解からない自分でした。

反省!!!人の話は聴くものです。


2010/06/10

 

整経をするときに・・・

色目の濃淡で意外と解かるような解からない色目。整経時や織り始めてから光線等で解かりにくい濃淡の色。色目の似たものを使う場合は管に印をつけて置くと便利です。整経用の管に小管等に。

今回もそうですが糸が少なくなったり管の交換等で気が付くと色が替わっていたと言うこともあるので慎重に整経をしました。

ドラム整経はいろんな整経が出来て縞に幅を出すことが楽しめます。盛り込んだり、休めたり、手返ししたり、時間さえゆっくりと持っていれば可能な作業です。時間が無いと気ばかりあせって整経がはかどりません。整経は慎重にが一番!!!


2010/06/11

 

今日も何やら変わり易い天気です。先日に続き今日もテントを張って豆汁干しです。テントを張っている間にお天とさんが出ましたが、糸を干している間には小雨が降ってきたり、テントはやはり助かります。

山荘では雨よけ、雪よけと日よけにと毎回テントを張ります。

工房では今まで考えたことも無く早くすれば良かったと反省しています(苦笑)

テントがそのうち屋根付きに替わったりして(大苦笑)


2010/06/13

 

織り終わりの支度の様子です

①あぜ棒を支えていた左右にある紐(間丁から出ている)を取り除く。あぜ紐は忘れずに結ぶ。

②あぜ棒を千切り布にできるだけ近づける

(経糸を丁寧に寄せる)  

経糸が切るので、くれぐれも注意を!!

③寄せたあぜ棒の左右の紐を結ぶ。

④ビニール紐で千切り布に固定する。

⑤これで織れる所まで織る。

あぜ棒は最後(織りきる)まで抜かない。

あぜ棒を抜くと経糸にゆるみが生じる。

避けた方が良いですよ。

工房ではこの方法をしています。


2010/06/16

 

竹糸織帯地と桑糸繊維糸帯地の水通しをしました。少し色があるのが「桑繊維」白は「竹糸」です。

どちらも帯地です。両方を同時に水通しをするのは初めてで 「桑繊維」は正に繊維

です。すこしゴワゴワしておりますが締め易い帯になると思います。

竹糸ばかりで帯地を織っていましたがこれもまた良い製品になると思います。

「竹糸織」も締め易くすばらしい帯地です。夏場の帯地としては蒸れも少なく

シワも少なく扱い易い帯地です。


2010/06/17

 

梅雨の晴れ間・・・

豆汁をしてシーツの糊付け干しをして明日からの雨模様に備える。

晴れて白い糸や布を干せる幸せありがたい。干し場のそばに赤目樫の木がありますが、そのうち1本が枯れてしまいました。早く切り取ろうと考えましたが 少しずつ枯れていく葉がとても美しく。

その木の枯れ葉をみればその木の色が分かると聞いたことがあり、この木はこんな色に染まるのだと思ったものです。赤目樫も赤茶の美しい色がいただけそうです。


2010/06/20

 

今年も越前八坂神社にて赤麻を頂く。今年は天候不順でいろんな所に変化が出ている。

飯田の生徒さんに「杏の実』が欲しいとお願いしたものの、杏の成りが悪いとかで道の駅に出ないと言う。赤麻も例外ではなく成長が遅く、例年ですと6月掃除奉仕時期に

大きさが良く毎年染料にいただく。娘が成長がいまいちと言えども広大な参道両脇にあるので染料の必要量は手に入る。今年は色が如何がと気にしていたが心配無用でした。冬青の使える季節までの染料として大切な物です。感謝!!!


2010/07/06

 

桑糸の三つ網染め・・・

50g一綛を二本に割って三本で三つ網をする。出来るだけ強くしっかりと三つ網にする。

上下を紐でしっかりと結び水にしっかりと中まで浸す。3回染める。今回は丁寧に染めをしていない。本来は時間を掛けて重ねるが、三つ網染めの成果を見たいと思った。これでサンプルを織るためです。しかし思う成果が得られなかった。織ってみるとどんな様子になるかが楽しみですが。やはりしっかりと三つ網をすることがポイントです。


2010/07/07

 

桑糸の桑染め・・・

飯田の生徒さん宅にて桑糸の桑染めを。天候は荒れると予報していましたが、作業するには丁度良い天気でした。天然のクーラーに中での作業。極楽極楽!!!

半年前に伐採したと言う桑の幹を持ち帰り、やわらかい葉や茎、枝等を持ち帰り色の違い等を知りたいと染めが楽しみです。

森の中に放置したあった桑の幹から葉が出ています。なんと生命力の有る事(伐採してあるので根はついていません)

家で初めて染めの作業をするので準備をしました。沸騰には50分を要しました。標高があるのと、5kgボンベ等で染めるまでに時間が要りました。染めに入るまで時間があるので桑糸の説明をしたり、ハンカチに絞りを施したりして待つこと長し。

ハンカチと糸と共に染めた為かハンカチの色が薄い。桑糸は良く染まる。翌日水洗した色です。

今日は工房でいただいた桑の液出してしています。桑は年に二度いただけるので季節を大切にして時期集中して染めることになります。豆汁をした桑糸はすばらしく予想を遥かに越えて染めれることを知りました。 幹染めは次回にご紹介します。


2010/07/12

 

桑糸を持ち歩く・・・

毎日のように雨が続き、糊をした糸のカビが心配で持ち歩く。

娘の家に出かけて糸を持ち込み居る間中、糸を干しています。

サンプル織りに梅雨時期豆汁が出来ず糊をしてサンプルを織る事にした。何とか手を入れてカビだけは防ぎ今は織るところです。

梅雨時期は豆汁は、特に今年はカビになりますので注意が要ります。


2010/07/19

 

山荘に2台生徒さん用の機が置いてある。最近は織れる様に成るまで工房に山荘に機を置いて指導に当たる。彼女も今回で2本目。1本目より「機音がやさしい」よく主人はまず10本織る。そうすればしっかりと自分の機になり、自分の反物が出来るようになる。その通りで1本ずつ変化は大きく素晴らしいものになる。1本より2本と各地に戻って染織をしている生徒が多くなると会う楽しみを増えてありがたい。一人ひとりが健康で機にたずさわっていてくれることを祈りつつ今日も指導に励む。


2010/08/17

 

今日もテントの中での糸干し。乾燥に時間がかかるがこの暑さ。「外で干すこと…そんなことは」とは言っておれない。長く続く染織をすることが一番です。 豆汁をするには少し大変な季節が多くなる。工房では豆汁の水分を減らして作業をすることが多くなった。

『平成の縞帳』300g/3000ccと明記しているので変更にはためらいがある。しかし3000ccでは今の天候では無理がある。豆汁を全て糸に吸わすことが大切なので、時間ばかりかかる作業は避けたほうが好いようです。

「豆汁を全て糸に吸わせることを頭において水分調節をしてみると良いと思います。

工房の温度が40.3℃まで上がりました。こんなに汗をかくのに体重が一向に下がりません。

どんなに暑くても汗をかく染めは楽しい!!


2010/08/18

 

煮染めで4基のガスが動く工房内は39℃近くになる。作業途中に『レモンシロップ』

力をつなぐ!!! 今回の赤と茶は染め上がりが近い。丁寧に何度も重ねていただく色は

長く色として留まってくれる優れもの。毎回色素を全て吸ってくれて染まる豆汁糸は優れもの。感謝!!!


2010/08/19

 

桑糸の桑染め・・・

7月に飯田の生徒さん宅でいただいた桑を持つ帰り、桑染めをし始めてようやく使える色になりました。 桑もしかり葉を主にして染める物は染め液が長く持ちません。5回染めて今回は使いますが。終わりの液は少し臭いがしてきました。 今回は初めて豆汁した糸に染めを施すこと。どんな色に上がるか、色として使えるのか等を試す為の染めでした。

色はしっかりと染まり使えそうです。二色染め分けれるので濃淡を使えば結構素敵なの

ではないでしょうか。反物に織り上げるが楽しみです


2010/08/25

 

ケナフの日よけ・・・

ケナフは水麻で、非常に強い繊維と思っていました。強い繊維と柿渋で織ればいいものが生まれると思っていましたが、「日よけ」には向きません。室内で間仕切りの使うには趣き(おもむ)があってよいと思います。

使い道を考えて織るべきだったと感じました。町内で使っていただいている所が二箇所

ありますが、メンテナンスが大変です。掛けてかけている所が風の道らしく痛みが激しく半年に一度は染め直しをしたり、織り直しをしています。掛かっている所を見れば

それは好いものです。しかし手が掛かりすぎです。でも楽しんで織っています、また掛けるために。頼まれても商品にはごめんです。


2010/08/28

 

毎回思いますが沢水は色が良いですね~。写真は今回2回染めです。

割り染織「吸うであろう色素で染める」下水には透明な水を流すように心がける。工房で染める色素分量で染めていますが,これが3回ともなれば工房では仕上がりの色です。毎回グイグイと色素を吸って良い色になります。染めにはもうこれで良いという基準は

ありません。色糸も使わず長い間放置すれば糸はくちます。命を失います。間を見て水洗をする。

風に当てることが糸を長く持たせるキーポイントに成ります。


2010/08/30

 

ケナフのような自然繊維の織り方・・・

日よけを織っています。太くて織りやすく見えますが、これがなかなか・・・。 工房では繊維なので豆汁をして柿渋で染めました。3回染めて織り作品になって改めて染め重ねます。染めは3回が限度。

これ以上染めると織れません。3回でも糸が固くて織りにくいです。糸切れが発生すればこんな具合にして直しながら進みます。直しながらでなければ織り地が固く出来上がってからは大変です。

相手は自然。対話しながら織れば楽しい物です。出来上がったものはすばらしく、織って使うところがあるので、待ってくださっているので織らせてくださることを感謝して織っています。


2010/08/31

 

栃の実・・・

リトルワールドの拾って植えた「栃」がこの暑さに負けず大きく成っています。生徒さんが公園で拾ったと「栃の実」を見せてくれました。艶のある固い実です。耳には良くするけれど実を見たのは初めてです。しかし10年位前に枝・葉で染めたことがあります。 綺麗なしっかりとした茶~鼠が染まります。堅牢度もよく染材には素晴らしいものです。 機会があれが染める好いですね。