2010/01/06
恒例の「竹」を採りに出かける。竹の種類は「篠竹」節と節の間が開いていて織りにたいそう重宝します。工房では切って一年近く乾燥させて、節を丁寧に削って使います。
竹が枯れると思ったより細く竹が締まり、軽くなります。今の時期に切った竹は虫が入らなくて良いのです。最近は身近に「篠竹」が少なくなって少しずつ遠方に走っていただきます。
あぜ棒には軽くて、真っ直ぐのものを選ぶようにすると竹糸が切れずに良いです。節はしっかりと削って使いましょう。
2010/01/20
初染めに入る・・・
紅花染め:写真は3年目の生徒さんです。ようやく色が放つと言う感じになりました。
紫根染め:赤城の節糸を染める。紫根は素晴らしい染材です。染めれば水の中に流れ出る事も無く、毎回全ての色素を吸ってくれます。 今年も元気で染織に携る事が出来ることを祈りつつ・・・。
2010/01/25
初染めが進んでいます。毎回素敵な色をいただけて感謝です。
さて質問をいただきました。「紅花染めでの注意点で黄水抜きをして予定日に染めれない場合はどうすればいいのか」と。
予定日に染めれない時は、黄水抜きを続けておく事です。どれだけ黄水抜きをしても黄水は出ます。
アルカリにして赤を出したままにして置くと色素が壊れて染まらなくなります。出した場合は染めることを薦めます。
2010/01/27
今日は天候もよく、朝は一番の冷え込みと言っています。主人はじき染め始める「竹糸」の精練をはじめました。寒い朝に映える「白い竹糸」心が洗われる瞬間です。今年も楽しんで染織をするぞ!と話しながら作業に励む今日です。毎日やって来る生徒さんと初染めの紅花染めが終わり、今日からは紫根染めに入りました。皆元気で工房の門をくぐってくれますように。
2010/01/28
竹糸帯地」を織る。少し前に差込を終えている機を見に工房に来て「写真で撮って」と。
何ともう織り切れてます。指で数えて「五日目」 見れば無意識にお尻をさすっています。
今月15日から私が鼻血を出して二週間あまり作業が滞っていましたが、きっと5月の
「銀座展」に間に合わすべく気が焦ったのでしょう。
2010/02/01
南天の実・・・
最近は娘のところで南天の実をちょうだいする。南天の実は枝と切れば分かりますが
枝の中は綺麗な黄色をしています。剪定等で沢山いただくことがあれば染めるといいですね。
明礬で黄色、だし金で柔らかい鼠が染まります。今日は雨が降って葉も実もきれいです。
2010/02/03
古布を使って・・・
長年貯めていた古布を使ってトイレットペーパー入れを作ってみました。
大切な布たちでなかなか鋏を入れることが出来ずおりましたが、使うほうが好いのではと、縞帳作りで残ったものを利用することにしました。手作りの大好きな主人が出来たかどれどれとトイレの中まで見に来ました(苦笑)
2010/04/16
桑糸の管巻き・・・
桑糸を扱い始めて6本目ですが、糸はとても丈夫で経糸が織っても一度として切れません。
織るのが楽しくなります。糸に艶もあり藍染めが良く染まります。今はまだ不定期の糸の入手なので豆汁をして染めて織るという所までいきません。桑は蚕が葉を食べて良質の絹を生み出します。だから桑自体が農薬など使っていないと言うことで体には良いものだと思います。葉を食べた後の幹を剪定してまた新しい幹を育てて葉を食べると言う循環の中で桑の繊維が生まれます。織り地は和紙の風合いです。シワは繊維素のものですから、しっかりとあると思います。今は夏物に桑の自然の色と藍糸のみで織っております。軽くて肌割りのよい反物に仕上げたいと思っております。今年の名博に展示したと思っております。
2010/04/24
桑糸織りの整経をして織っている所です。桑糸は和紙布のような感触で糸は丈夫でしなやかな糸です。品布や芭蕉布は、表皮を柔らかく糸にしてあるものですが、桑糸は表皮を綿状にして作られています。繊維素のもので作ってあるものでも作る工程で綿状になることでしなやかさが出るのでしょう。綿糸のように出回っている糸ではないので、糸がまだ繊細なものです。
織っていても表皮が微量に残っていて それを取り除きながらの織るのは時間がかかります。
写真は織っている所ですが山荘で整経をして千切りを持って上がるのを忘れ、織り幅と同じ寸法の千切りに巻き取りました。…がやはりしてはいけませんね。左右の耳分がダレが出てきます。
機草も忘れ、ポスター紙で巻き取ったので柔らかく用を足してくれません。 残念!!!
1本織り切るまで気が抜くことが出来ず、してはならないことをしてしまったと悔やんでいます。
2010/04/29
桑糸織を始めて今7本目であるが新素材は楽しくもあり不安でもある。桑糸織は夏の単衣である。
桑の自然の色と藍の色で単衣を織るが 汗も吸って軽くて気安い反物である。繊維そのものであるが繊維を綿状にして紡いであるので柔らかくて軽い。今は各地で桑の木をあまり見ないので、糸を作ることが非常に大量にとはいかない。桑はお蚕さんがたべるので、無農薬である。体に優しい繊維と嬉しくなる。竹糸と違って国産の素材を使うことが出来ることが何よりうれしい!!!
2010/04/30
鯉のぼり空を泳ぐ・・・ もう10年になりますか、南知多のフォレストパークで鯉のぼりの講座を3年しましたが、そのサンプルを毎年風に当てる。玄関先に置いておればさほど日に当たらず、こうして素敵な色を保っている。また作りたいと話しがあるので講座をすると決めてはいるが、
1年かけて染める作業は大変である。でも沢山の鯉のぼりが空を泳ぐと嬉しくなる。
みなさんと作った120尾の鯉のぼりが泳げば見事ですよ~。
2010/05/07
藍糸の灰汁・・・
藍染めはよく難しいと申しますが、染めて~水洗これがポイントです。今回も丁寧に水洗をして来た生徒さんの藍糸です。しばらく水に浸していたものですが、色水ではなく灰汁水です。
色は出ていません。
ここまで染めて毎回水洗を行えば色も早く定着して好いです。絶対の機や作業中手等につくような糸は使わないことです。色が落ちるような反物を作っても人に差し上げることも出来ません。
それは悲しいこです。糸は反物になって生きるもの。糸のままでは屑のままです。反物にして使って生きるのですから気持ちよい染織をしましょう。
2010/05/19
銀座から帰り昨日今日と生徒の指導をする。
思えばとてもすばらしい『銀座展』でした。感謝!!!
今も帰ってずっと竹糸着物を室内で干していますが、シワも気にならずです。今までは着れば直ぐにクリーニングに出しておりましたが、じき6月29日から名博がはじまるので、その後に出すことにしました。自分の後姿が『姿見』で後ろも見ることが出来て、嬉しいほどスッキリと着こなす事が出来るようになったことが嬉しいです。着付けの先生に感謝!!!
今年の名博は、名博で着替えをしようと思います。姿見を探しておくことにしましょう。襟元、裾と着るポイントをつかんでいれば良いようです。着物を着れば気持ちもシャキッとしていいものです。私が着る竹糸織着物は豆汁して藍で染めて一番硬い着物
です。人にもう少し何とかならないかと言われましたが、これが(豆汁をして染める)工房のポイントなのです。
糸の染め、糸の強さ、清涼感(時として体温で調節してくれる)もの。
パパ曰く、竹糸は温度と湿度(自分の)で調節して着心地のよさを出している糸です。だからこそ8月の真夏以外は単衣で冬も着れるものなのです。銀座で今年はかなり何度も座って話をしました。
でもシワもなし。今ならもっと説明が付くのですが、帯について私のように体格の良い人には帯は全通柄で、少し長く作ると楽しく気持ちよくスッキリと着ることが出来ます。
★竹糸とは・・・竹のセルロースを熱処理で溶かして糸を作る方法=バンブーレーヨンと言われるものです。竹繊維とは言えない。竹の姿を替えて糸つくりをしてあります。開繊維と言って繊維そのものの糸もあります。この糸は手機でも織ることが出来ません。混紡糸といってほかの素材と元で混ぜ糸にしたもの。この糸ですと機械にかかります。
工房ではバンブーレーヨンと竹繊維で織っていますが、竹繊維を入れて織るとシワが出て重さがあります。主はバンブーレーヨンですね。二人工房の竹糸織着物や帯を是非一度手にしてみてください。
止めども無く書き綴りましたが新素材なので手に取って、少し時間を頂いて羽織っていただければいろんなことが解かっていただけます。今は冷房・暖房がきき、こんな素材が今から出て来ると思います。新素材は出始めは手探りですから、手入れには丁寧に扱うほうが懸命です。自分で丸洗いできます。形の変形等を気にされますが、染色に高い温度で何度も重ね染めをして色糸つくりをしています。糸として縮は無くなって水通しもしています。ここまで作品作りです。
6月29日~7月4日まで名古屋市博物館ギャラリー6室にて是非見ていただけると幸いです。
2010/05/20
今日は雨。少し蒸し暑く風も無くこんな日には豆汁も糊もしない方が良いですが、桑糸の糊をしました。午後から回復してくると聞き期待して行いました。桑糸は水の潜らすと撚りが戻ります。
しっかりと重石をして干してやります。今回はバケツに水を張ってと桑糸織の着物を織り上げて、隣の奄美の機で15cmの反物を織っています。
今年は名博10年記念に織っています。 絣用に機で少し小ぶりなので主人には織りにくそうですが、4~5本15cmのものが出来るので楽しみです。
2010/05/22
凹面鏡・・・
作業中何やら焦げ臭くて見ると焼けこげが(汗)工房でも何度か経験がありますが火事の元です。
ボール等を触るときは注意が要ります。
2010/05/25
桑糸織りが織り終わろうとしています。あぜ棒が固定している紐から動かなくなると、
あぜ棒は抜かないで、写真用にあぜ棒の間隔を出来るだけ狭くして あぜ棒と千切り布を
共に固定します。こうすると最後まで織り切ることが出来て有効です。最後の経糸が
捩れて来るのは初めに丁寧に糸を揃えたりしていない結果です。織りにくくなって経糸を解いては糸のテンションが狂ってくるので経糸は織り切るまで解きません。経糸は出来るだけ使う目的が無い限り織りきってやりましょう。糸は布に成れば命を貰い布の役目を何かで果たします。中途半端な糸はだだの屑になっています。
『桑糸』は繊維でありながらとてもしなやかく柔らかくしわにもなりにくく丈夫な糸です。
夏の単衣に織っています。