一般的に草木染めをする場合、濃い染液を用いて1~2回で染め上げることが多いかと思います。
しかし濃厚な染液のため、かなりの染液が残り、ほとんどすべて廃棄されると思います。
また媒染も一般的に濃いものが使われます。
二人工房のこだわりの草木染めでは、濃い染色液を何分割に分けて染めるもので、
「割染色」と呼び、むだを出さない効果的な染色かと考えています。
その特徴は
*1回の染色でほとんど全てが吸収される染液と媒染を用いること。
染色は1~2年かけて十分に枯らしながら10~20回染め重ねる。
*豆汁処理した糸・布を用いること。
*媒染は身近なものを用いること。
アルミ媒染:ミョウバン(5%水溶液にしたもの)
鉄媒染:鉄釘に食酢を入れ熟成させたもの
銅媒染:使用しない
このように「二人工房のこだわりの染織」は「豆汁処理」と「割染色」と特徴とし、できるだけ薬品を使わない、色水を出さない染色を心がけております。
二人工房では環境に配慮した染織を掲げ、2005年に開催される愛知国際博のパートナーシップ事業として登録承認を受け活動しています。
主な活動として今年(7月に第1回尾州の縞展を開催)より、毎年名古屋市博物館にて「尾州の縞展」を開催する予定です。
”こだわりの染織”に関心のある方是非一緒に活動し、2005年の尾州の縞展に参加しませんか?
(1)主な染色材料(以下染材と略す)
色 | 染色材料 |
黄色系 | カルカヤ ヤマモモ こぶなぐさ |
赤色系 | 紅花 茜 |
肌色系 | 杏 木蓮 梅 柳 |
茶色系 | 萩 ピラカンサ 冬青(そよご) ドウダンツツジ ホップ |
ねずみ色系 | 栗 つるばみ 矢車附子(やしゃぶし) 野ぶどう |
紺色系 | すくも インド藍 |
染色材料は堅牢度の良いものを選んでいます。
(2)主な媒染
・アルミ系:ミョウバンを水に溶かして5%溶液にしたもの
・鉄系: 酢酸に錆びた釘を入れて作ったもの (だしがね)
(3)草木染めの方法
染色液の液出しについては、一般的な方法と大きく変わりありませんが、
水から煮出して、沸騰して30~40分煮出し液を取り出す。
液出しは1~3煎して全てを混ぜ合わせて使用している。
<豆汁処理した木綿糸の草木染め>
①染色前に豆汁処理して一ヶ月枯らした木綿糸を約1時間煮て糸目を広げる。
②染める前に糸を絞り 綛をさばく
③湯の中に元液(一回で吸収される染液)を入れて、
その中に糸目を広げた糸を染液に入れて温度が上がるまでよく繰る。
④沸騰して20~30分煮る。
⑤絞って綛をさばく。
⑥媒染(例えばミョウバン水)に20~30分入れ その間よく繰る。
⑦再度染液に戻して20~30分炊く。その間よく繰る。
⑧放冷。
⑨絞ってはたいて日に干す。 乾燥後、日陰で枯らした後染め重ねる。
<草木染めのポイント>
*染色前に豆汁処理の糸を煮て、糸目を広げておくこと
*必要量の染液(糸が全てを吸収する量)、媒染を用いて染める:環境に配慮
*染色時に十分に温度をかける
*十分に枯らしながら染め重ね、所望の色に仕上げる